• 羽佐間一潮

2.最初に決めること:会計帳簿

突然、会計帳簿?と思われる方も多いかも知れません。これは私が30年以上のシステム構築経験から、データの保全と完全性、およびシステム保守が重要であるからです。


 データ消失が行われた場合、その影響は計り知れません。また、データ完全性の視点から自社の総勘定元帳をもとに最終的な決算データを実現できる点を重視しました。決算処理にあたり、最終的な帳簿調整を税理士と行った場合、記帳漏れなどの補正は発生します。税理士側に移ったデータではなく、自社の総勘定元帳をマスターデータとして最終補正処理し決算処理が可能な基盤の整備を目指しました。「あれ、なんで税理士帳簿とうちの帳簿の合計が合わないんだっけ」なんてことがない仕掛けを目指しました。


 もうひとつの理由は、税理士を決めた後では自分の業務スタイルにマッチした会計システムを選定することは極めて難しい点にあります。 


信頼性のあるクラウド型会計サービスを選ぶべし

 初期コストと5年TCOを鑑み、コストを重視するから自分のパソコンに弥生や勘定奉行などのソフトを入れて行うのがベストです。しかし、データバックアップやパソコン更新に伴う会計ソフトの更新作業や、災害時の臨時運用、またオフィスが罹災した場合の復旧処理まで考えた場合、果たして目先のコスト重視で良いのでしょうか?


 後述しますが、わたしが利用している会計サービスはfreee株式会社が提供する「会計freee®」を利用しております。当該サービスはアマゾンウェブサービスジャパン株式会社が提供するAWSクラウド基盤を利用しており、米国では国防総省も利用しているクラウド基盤です。データの信頼性はまず間違いないでしょう。

(AWS導入事例「freee株式会社」)

https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/freee/


【リスクの視点】

 リスクを考慮した場合、クラウド型の会計システムが現時点では最適と考えます。オフィス内ににシステムはありませんので、オフィスが罹災した場合でも重要な会計データはデータセンター内に保持されているので安全です。

 また、サイバーセキュリティの観点からも、自社でシステムを保有する場合は常に最新のソフトウエアが適用されるようシステムの保守は最低限行う必要があります。一方、クラウド型会計システムは、オペレーションソフトやミドルウエアソフトのバージョンアップ対応はサービス提供会社が実施してくれますのでシステム保守を心配する必要はありません。外部からのサイバーアタックにつきましても、クラウド事業者の基本サービスとして対処いたしますので安心できます。

 ただし、クラウド型サービスは通信回線が障害等でつながらない場合は利用できません。このあたりのリスクを許容できることがクラウド型サービス利用の前提になります。


【利用効率の視点】 

 クラウド型の会計システムを利用した場合、リアルデータを用いて税理士からアドバイスを受けることができます。1年間を通じて、私は一番のメリットでした。場所を選ばず、自分の都合で税理士とウェブ会議を通じて、リアルな会計データのアドバイスをいただけたことが有意義でした。

 もうひとつのメリットは、オムニチャネル化の実現です。オムニチャネルとは様々なデバイスから利用できることを指します。Webブラウザを介して利用できますので、MacBookや、Windows10、スマートフォンやタブレットなど、さまざまな端末からアクセス可能です。


では、どのような会計クラウドを使えば良いのか? 


【自分で日々の記帳を行うのなら「会計freee®」がおすすめ】

 先に申し上げますと税理士が多数利用しており、また税理士がおすすめするクラウド型会計サービスは株式会社マネーフォワードが提供する「MoneyFoward®クラウド」サービスです。次の回でも触れますが、税理士事務所で一番多く利用されていたのがMoneyFoward®クラウド型会計サービスでした。


 現在私の会社のサポートをしております税理士に伺いますと、MoneyFoward®は会計ソフトの「弥生会計®」に類似しており、税理士として使いやすいサービスだそうです。しかし、税理士や簿記担当が利用しやすいソフトウエアと経営者が利用するソフトウエアとは、目的そのものが違います。経営者は全体効率を追求する必要があります。


 現在、わたしはfreee株式会社の「会計freee®」と「人事労務freee®」を利用しております。なぜfreeeか、一言で表現しますと「freeeはERP(統合基幹業務)」だからです。会計や決算業務から、人事給与、請求業務もひとつのプラットフォームで実現でき、Salesforce® CRM連携も標準実装しております。


 会計freee®の特長は、「簿記の知識が怪しくても、仕訳を機械が判断」してくれる点です。仕訳の際、「借方」「貸方」の転記ミスは基本起こりません。選択した勘定科目に応じて、システムで「借方」「貸方」を自動転記する点が特長で、税理を専業で行ってきた方にとっては、このあたりが「気持ち悪い」点かも知れません。

 会計freee®のもうひとつの特長として、先にご紹介した人事労務freee®とのシームレス連携機能です。人事労務freee®で処理した給与、社会保険、源泉所得税などの記帳がスムーズに行えます。スモールスタートで自分で会計帳簿を行うことを考えているのであれば、この会計freee®と人事労務freee®の2つのサービスを使えば簡単に処理できます。

 銀行口座やクレジット会社ともAPI連携を標準で備えているので金融機関の口座データの取り込みを自動で行ってくれます。

 以上、会計ソフトの選択の話をご紹介いたしましたが、日々発生した領収書や支払伝票、請求書や入金伝票など一式をすべてまとめて税理士に送付して会計帳簿の記帳業務から税務処理一式すべてを税理士事務所にお願いするスタイルを取る場合、以上の考慮は不要です。


 スモールスタートで、日々の会計業務も内製化をスコープにいれるのであれば、まず自社の会計帳簿と総勘定元帳をどこに設置するのか、そのソフトは何で実現するのかをまず決定し、その後自分が選んだ会計ソフトを対応してくれる税理士を選ぶことをお勧めします。 


次回は、「創業に向けた税理士の選択」をテーマに記載します。


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